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石文化が息づく里大野川流域の旅朝霧、夕映えの大野川
江内戸の景』は三重町の観光名所になっていて、朝霧、夕映えをはじめ、四季折々の大野川が一望できる。
■大野川流域の磨崖仏(普光寺磨崖仏)

宮崎県との境にそびえる祖母山を源を発し、百を越える支流を集め、大分県中央部を貫流して別府湾に注ぐ県下最大級の河川・大野川。有史以前から人類の生活の中心だった上中流域からは、数々の石器や土器が出土されている。『川は文明を起こし、それを運ぶ』流域には古くから人々が集まり、一つの文明圏を形づくってきた。

そして悠久の流れに長い歴史を育まれてきた奥豊後には、数多くの磨崖仏や石橋、石塔などの石造物が残されている。まさに奥豊後は石造文化財の宝庫といえよう。阿蘇火山の溶岩、凝灰岩は非常にきめ細かく軟らかなために、自由に岩を彫り刻むことができる。そのような土壌があってこそ・三重町、緒方町、朝地町、犬飼町などの大野川流域二十数カ所に八十余体の磨崖仏がつくられいいるのだと思う。県下で、いや日本国内で最大とされる朝地町・普光寺の磨崖仏。国道から分かれて山道を車で八分、駐車場から急な坂道を下ると、高さ11.3メートルというスケールの大きな不動明王が二童子の脇仏を従えて彫られている。周囲の岩くつと相まって、雰囲気は幽玄そのもの。

 『不動明王おそろしや、怒れる顔に剣をもち』・・・およそ、不動明王は怖い顔でなくてはならない。にもかかわらず、この不動明王のお顔は、おおらかで親しみがもてる。岩肌からしみでる水に鉄分が多いためか、赤く変色して彩色されているかのように見える。谷あいには三千株を越える紫陽花が植えられており、花の季節の眺めは実に美しい。

高さ11.3メートルの不動明王 あじさいと不動明王
『普光寺の磨崖仏』
  『あじさいと普光寺磨崖仏』 浮き彫りでは日本最大といわれる二童子の脇仏を従えた 不動明王ではあるが、お顔はおおらかで親しみがもてる。ふっくらとした丸みのある、 微笑みをふくんだようなおおらかな表情である。だが一度雨に濡れると、それは恐ろ しい不動さまに変身。

■大野川流域の磨崖仏(菅尾石仏

 奥豊後を代表するといってもいい菅尾石仏。大分バス犬飼久原バス停留所より徒歩30分、石造りの鳥居をくぐり九十余りの急斜面の石段を登りつめると、一列に並んだ五体の磨崖仏が目にはいってくる。岩くつの中に、向かって右より毘沙門天、十一面観音、阿弥陀如来、薬師如来、千首観音の五体が、毘沙門天を除いて丸彫りに近い厚みで浮き彫りされている。
 木彫り仏に匹敵するほどの秀作が、なぜこんな山奥に、と不思議な思いが先に立つが、この石仏は国指定の重要文化財・国指定史跡であり、平安時代後期の作とされている。だが作者は不明。日羅の作とか、紀州の熊野権現を勧請したという説があると思えば、鬼が作ったという伝説もある。それにしても、このような僻地にまで来て栄えたエネルギーの支えは、いったい何だったのか。問いかける疑問とともに、その端麗な横顔にひかれるばかりである。
菅尾石仏 量感あふれる秀作  左より

 千首観音
 
1.
 薬師如来

 阿弥陀如来

 十一面観音

 毘沙門天
千歳村・大迫バス停付近の磨崖仏 犬飼石仏(足の裏がみえてユニーク)
■大野川流域の磨崖仏(千歳村石仏、犬飼石仏)

 大分バス津留バス停から徒歩十分の所に犬飼磨崖仏がある。苔むした石段を登と不動堂があり、中に不動明王が荒々しい手法で彫られている。両脇に脇童子を従え、両眼をカッと見開いた力強い磨崖仏。不動明王は坐像で、組んだ足の裏が見えておもしろい。
 岩には『南無大師遍照金剛』の八文字が刻まれていて圧倒される。大昔より、人々はさまざまなものにほとけ達を刻み込むことによって信仰のあかしとし、そして信仰の対象としてきた。その素材として身近にある岩や石を選んだのは当然のことといえよう。その崇高なノミの跡には、刻んだ人の信仰が脈打っているかのようで、豊後地方の豪族、あるいは修験者たちが祈りを込めて、岩を石を仏に仕上げた心に、時を越えて思いをはせることが出来る。奥豊後の山中や、見上げるごとき岩、そして川のほとりでは、これらの磨崖仏が私たちに語りかけるように優しく迎えてくれるのである。


■磨崖仏、宮迫東西石仏(緒方町)
宮迫東石仏 宮迫西石仏(緒方町)
 JR緒方駅から竹田交通米山経由竹田行きバスで十分、緒方平野の真ん中に『大分のナイアガラ』の別名をもつ『原尻の滝』が豪快にしぶきを上げる。滝から徒歩30分、緒方宮迫にある東と西の石仏は前者が大日如来左右に不動明王、多聞天。その後壁の舟形の光背が彩色されていて印象的だ。後者は釈迦如来と阿弥陀の三尊で、法衣が彩色されているのが特徴である。いずれも平安時代中期の作と推定されている。
(大分バス社外誌 まりーんぶるー より)